美味しんぼのガム回
俺はアニメの美味しんぼがとても好きである
今回はその中でもオススメの回の話をしようと思う
その回のタイトルは
「代用ガム」
美味しんぼといえば究極と至高のメニューが鎬を削る美食の数々が出てくるお話である
その中にあってガムの話というのは異色であるし、タイトルだけで興味をそそられるのではないだろうか
あらすじ
山岡士郎の上司の富井副部長は、自分の弟と折り合いが悪い
そんな中、久しぶりに弟と会った酒席で昔話をする
「ウチは貧乏でお菓子なんか買ってもらえなかったな〜。まあウチだけじゃなく日本全体が貧しい時代でもあったが。ある日お前がガムを食べたいと駄々をコネて、親父が小麦粉でガムを作ってくれたっけ。優しい親父だったな〜」
しかし弟はそんなものは食べたことはないと言い
「小麦粉を練って出来るのはうどんだけだ!!」
と怒り出してしまう
それどころか「昔から親父は兄さんばかりひいきして、俺にはちっとも優しくなかった!!大学だって兄さんは行かせてもらえたのに、俺は行かせてもらえなかった!!ガムだって兄さんだけ親父にもらったんだろう!!」
と恨みつらみで
もはやガムどころの話ではない
これを見た山岡と栗田は、小麦粉から作ったという代用ガムを再現し、富井副部長と弟の仲を取り持とうとするのだが……
というお話である
(大学の話は富井副部長が大学4年の時にお父さんが事業に失敗し、副部長はなんとか卒業したが弟は行けなかったとのこと)
この後山岡たちは試行錯誤して小麦粉からガムを作ることに成功!!
富井副部長の弟を呼び出し、山岡の作った代用ガムを食べてもらうことになる
美味しんぼといえば、何か問題が起きて、それをドラえもんが道具で解決するかのごとく料理で解決するアニメである
いつもなら最後に本物の素材で作った本物の料理とやらを食べて、感動して解決なのだが、この回は
代用ガムを口に入れる弟
すると無表情でこう言い出す
「青臭いよ……何の味もしない……生の麦の臭いだ」
「酷く不味い」
美味しんぼのアニメは全136話あり、俺は全話見たことがあるが
話のまとめに入ってる状態で食べた料理を不味いというのは、後にも先にもこの回だけだと思われる
しかし、この話はこう続いていく
「いくら何も無い時代だからって、よくもこんなものをガムの代わりになんて……」
「こんなものがガムの代わり……なんて惨めだったんだ」
「子供にこんなものしか与えられなかった親は……!!さぞ辛かったろうな…………!!」
と涙する副部長の弟
「思い出したよ、この味、この匂い!!親父は俺を慰めるために、知恵を絞ってこんなものを……。優しい親父だったんだなぁ!!」
と、父の優しさを思い出し
大学に行けなかった事で親や兄を恨んだ自分を反省し、兄と仲直りする
いつもなら美味い料理を食べてフィナーレだが
不味い料理を食べて終わるという異色の回
だが、
人を感動させるのは美食だけとは限らない
そのことと
戦後の貧しかった日本を現代に伝えてくれる、まさに神回なのである